LOH症候群

LOH症候群は、加齢男性・性腺機能低下症候群ともよばれ、いわゆる男性版の更年期障害です。
更年期障害は女性だけのものではなく、男性ホルモンが減少することで男性にも起こります。

LOH症候群の原因

女性の更年期障害の原因が、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することによって起こるのと同様に、男性の更年期障害(LOH症候群)も男性ホルモン(テストステロン)が急激に減少することによって起こる病気です。
女性は加齢による急激なホルモン分泌減少が起こりやすく、更年期障害の症状が出やすいと言われています。

それに対し、男性は加齢による急激なホルモン分泌減少は頻繁にはおこりません。
しかし、極度の疲労やストレス、環境の変化などで男性ホルモンの分泌減少が急激に起こることがあります。急激な男性ホルモンの分泌減少が起こるとLOH症候群の症状が現れやすくなります。
特に、最近のストレス社会では、このLOH症候群が増加しており、本当はLOH症候群の症状であるにも関わらず、うつ病などと他の病名を診断されてしまうこともあります。

LOH症候群の代表的な症状

倦怠感・めまい・イライラ・睡眠障害・物忘れ・精神不安・勃起不全(ED)・筋肉量の低下・体毛の変化(ヒゲが薄くなる等)などの症状が代表的です。
症状が徐々に現れてくることも多く、「ストレス」や「うつ」などの精神的な病状と勘違いしてしまうことも多く見うけられます。
また、LOH症候群の原因に関係する男性ホルモン(テストステロン)は、性機能に関係のある精巣で約95%が作られます(残り5%は腎臓)。その男性ホルモンの分泌が急激に減少するため、性機能障害の一つである勃起不全(ED)が非常に起こりやすくなります。
EDで悩んでおり、睡眠障害やイライラなどの症状が重なっている場合は、早い段階で検査を受けた方が良いです。
LOH症候群の診断基準は明確化されているので、病院を受診して検査を受けることをお勧めします。

LOH症候群の検査と診断

LOH症候群の診断にはAMSスコア(Heinemann aging male symptoms score)が用いられます。
AMSスコアで27点以上は軽度の異常、37点以上は医療機関の受診が必要な中等度以上の異常が示唆されます。さらに、血液中の男性ホルモン(遊離テストステロン)の測定が必須で、LOH症候群の診断に最も信頼できる指標であるとされています。
診断基準では遊離型テストステロンが7.5pg/ml未満なら男性ホルモンが明らかに低いとされ、さらに7.5pg/ml以上から11.8pg/ml未満を男性ホルモンが低下傾向にある(ボーダーライン)と判断することを推奨しています。
なお、遊離テストステロンの採血は午前中に行うことが推奨されています。

LOH症候群の治療

まずは漢方薬や軽い安定剤の処方、プラセンタ治療などを考慮します。
遊離テストステロン値が8.5pg/ml未満の場合は男性ホルモン補充治療を第一に行います。

8.5~11.8pg/ml未満の時は漢方薬などの治療で効果がないときは、男性ホルモン補充治療を3カ月試みて、効果を評価するという治療法もあります。

11.8pg/mlの際は男性ホルモン補充治療の適応とはなりません。
男性ホルモン補充療法は一般的には男性ホルモンの注射を2~3週に1回行います。
注射の苦手な方は1日に1~2回、男性ホルモン軟膏の塗布を行う治療法もあります。
男性ホルモン補充療法の副作用としては女性化乳房、ニキビ、多血などが出現することがあります。

また、男性ホルモンは前立腺肥大症の進行を早める作用があると考えられるため、男性ホルモン補充療法中には定期的に前立腺の検診やPSA検査(前立腺がんマーカー)を受ける必要があります。
治療開始後1年間は3カ月ごとにPSA測定、ホルモン測定、一般血液検査を行う必要があります。

男性更年期障害と類似した症状は、EDと同様に糖尿病や動脈硬化、高血圧などでもあらわれることがあります。
まずは受診していただき、それらをルールアウトすることが大切です。


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